
「一時間幸せになりたかったら酒を飲みなさい。
三日間幸せになりたかったら結婚をしなさい。
八日間幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。
永遠に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」
開高健が「オーパ」に、古い中国の諺として載せている。
ウソっぽいなあ。
中国に詳しい人に聞くと、ここへ「八」という数字が出てくるのが、中国的数字観念として、怪しいらしい。
というか、出典が、未だ不明のようだ。
欧州(たぶんイギリスかな?)の諺。
Let him that would be happy for a day, go to the barber;
for a week, marry a wife;
for a month, buy him a new horse;
for a year, build him a new house;
for all his lifetime, be an honest man.
一日幸せでいたいなら、床屋へ行け。
一週間なら、結婚せよ。
一月なら、新しく馬を買え。
一年なら、新しく家を建てよ。
一生涯なら、正直人間になれ。
このとても現実的なのを、
日本人的な情緒感で、言い替えている気がしてならない。
「豚を殺して」で、敢えて中国=大陸的な雰囲気を創作し、
欧州=キリスト教であれば、「七」となる所を、
煙に巻く為に、「八」にしたか。
オチャメな開高の創作だと思う。
床屋より、酒がいいに決まってる。
と思っていたが、
床屋も案外悪くないかなと、最近思う。