山椒魚といえば、夢十夜。
風が吹けば、桶屋の猫が減るあたりだ。
山椒魚→山椒大夫→森鴎外→夏目漱石→夢十夜
となるわけで、
「高瀬舟」はもちろん「最後の一句」あたりでうろうろして、
辿り着いたは「夢十夜」。
(すべて青空文庫で読める。再読せねば。)
夏目漱石は、あまり読んでないが、これが一番好きだ。
夢十夜 第一夜
死ぬ際の女が、
「百年待っていて下さい」と思い切った声で云った。
これは詩経の「葛生」(かっせい)だろう。
葛生蒙楚 蔓于野
予美亡此 誰與獨處
葛生蒙棘 蔓于域
予美亡此 誰與獨息
角枕粲兮 錦衾爛兮
予美亡此 誰與獨旦
夏之日 冬之夜
百歳之後 歸于其居
冬之夜 夏之日
百歳之後 歸于其室
偕老洞穴を願う、戦いで死んだ男を思う女の詩だが、
百歳=百年なわけで、
この場合百年でも待ちますよというんだが、
漱石の場合、思いが時間を超越している。
たぶん、いろんな説があるが、
漱石が見た夢をそのまま書いたはずがない。
何かに触発されているはずだと思う。