2010年2月21日日曜日

てれすこ弐


「画狂人」葛飾北斎は、
江戸時代には珍しく長命で九十歳まで生きた。
五十五歳の時(1814年 文化11年)
に初版が発行されたのが、
北斎漫画』。
これが、1830年代のヨーロッパの画家達に、
影響を与えたのは今回関係ない。
紀伊国屋文左衛門が、怪魚を退治してから、
130年程たっている。

初版から、十五編まで発行された北斎漫画の中に、
ヘンなものが沢山ある。
その内の一つが、「鱶(ふか)」だ。
鰓の位置が、どう見てもおかしい。
(鰓以外にもおかしい。背中のヒレ多すぎ。)
サメの鰓は普通、ヒレの前にあるのさ。
こんなサメは存在しないと思う。

何故、北斎は鰓の位置を間違えたのだろう?
鮒とか他の魚は、かなり写実的にリアルに描いてある。
仮説1 実物を見ていない。
    奇書『山海経(せんがいきょう)』
    あたりからインスパイアされたか?
仮説2 初めて見たサメの、その大きさと異様さから、
    デフォルメをし過ぎた。
仮説3 サメではない、何かを見てしまった。

仮にも画家の観察眼を持ってして描かれた、
この北斎の「鱶」、怪しすぎる。
1723年(享保8年)に、作者不詳で描かれた鮫は、
ヘナチョコだけど、北斎よりはまともだ。

どうしちゃったんだよ、「画狂人」北斎。